がくうそうでんせん

架空送電線の話

The Overhead Power Transmission Line
タワーラインソリューション
produced by
Tower Line Solution Co.,Ltd.

架空送電線の調査・設計 Investigations and the designs of the overhead power transmission line

更新履歴(2006.02.15以降)
更新年月日更新内容
2006.02.15セミストレーンがいし装置写真・掲載
2006.03.30回転自在型スペーサ+偏心重量錘写真・掲載
2006.04.01相間スペーサ写真・更新
2006.06.05LPがいし(本線支持)写真掲載
2006.06.223導体スペーサ写真掲載
2006.07.23大束径2導体スペーサ写真掲載
2006.08.23鉄塔・使用目的による分類追加
2006.09.07着氷対策(ギャロッピング対策)の項・加筆修正
2006.11.01大束径6導体スペーサ写真掲載
2006.12.01垂直2導体スペーサ写真掲載
2007.01.072導体ルーズスペーサ写真掲載
2007.06.10解説文全面的修正
2009.05.30基礎設計解説抜本改訂、ダンパ写真追加、強調フォント使用
2010.09.04楔式クランプ概要図掲載
2013.01.16ギャロッピング現象動画追記掲載
2014.02.23がいし設計・電気的性能の項に塩害対策設計、アークホーンの設置、逆フラッシオーバ、是炎間隔、クリアランス設定掲載
2014.02.23電線地線設計・電線の選定の項に電線の撚り方向掲載
2014.02.23上部支持物設計(鉄塔)の項に塔体、腕金(アーム)説明掲載
調査(Various investigations)

この項では、上記のうち「1.建設計画地域の広範な社会環境、自然環境、および技術調査」の概要を説明する。

調査はまず起点と終点の間の地域を広範囲に行う。

以上の調査事項を集約して、候補ルートを複数選定する。
それぞれについて、概略経済比較を行い、目標とする運転開始時期に確実に建設完了出来るかどうかなどの優劣検討を行い、2~3ルートに絞り込む。
次に、候補のルートに対し概略設計を行うとともに、詳細な比較検討を行い、最終的には1本のルートに絞り込み詳細設計にはいる。

具体的な調査の進め方の事例を上げれば次のような手順となる。

  1. 起終点間を網羅する地図(20万分の1、5万分の1および2万5千分の1)を基に地形・地目・河川などの自然条件および道路・鉄道・他送電線など土地利用状況について調査する。また、地域の特異な気象現象、地質など、地元に密着した情報を気象官署および地元発行誌・地質文献などから収集する。
  2. 地図上に引いた複数の候補ルートについて、実際に現地を隈無く調査する。場所によっては、道なき原野・山林を踏破することもある。特に、技術的に通過困難な、ルート回避箇所(例えば、地滑り箇所、雪崩頻発箇所、有害ガス発生箇所、その他)を抽出して、確実に避ける。
  3. その調査から浮かび上がってきた候補ルートのうち、上位に位置する複数の候補ルートについて、航空写真を撮影し、立体鏡を使用して立体的にルートを視認し、具体的に支持物建設地点を選定したうえ、現地踏査を行い、支持物の建設可能性を判定をする。
  4. 同時に、法律・条例等で定められた各種規制(自然公園・保安林・農地など通過地域の諸規制)、および景観・貴重な動植物など環境に与える影響について調査し、送電線通過の可能性を見極める。
  5. さらに、用地取得の難易度、工事の難易度、保守・維持管理の難易度などについて調査検討を行う。
  6. また、気象官署のデータで、ルート上での局地的気象情報が不足・不明の場合は、設計上必要となる季節風、台風(風速、塩分)、氷雪などのデータ観測を行う。
    この観測は数年間に亘ることもある。
    特に、山岳地での局地的な氷雪観測データは気象官署のデータでは不明のことが多く、設計条件を如何にすべきか困ることもある。
    このように既存の適切なデータがない場合は、候補ルート地点に観測鉄塔を建設し、観測電線を張り電線への着氷雪状況等を多年にわたり観測をするケースがある。
    そのような場合は早期に調査・観測地点を選定し、信頼できるデータを採るため観測に十分時間をかけることが何にもまして大切である。
    写真は、新潟県と群馬県境の上越脊梁山岳地の豪雪地帯を予定ルートとする超高圧送電線の計画段階で、現地の自然環境実態調査を目的に設置された「高石山試験線」の着氷雪観測施設である。
    写真は柏村良一氏提供。
  7. これらのデータから概略設計をルート毎に行い、概算建設費を算出して経済比較し、目標の運転開始時期までに竣工可能か、などの優劣検討を行い、2~3ルートに絞り込む。
    さらに、その2~3ルートを、現地調査を含む詳細検討を行い、最も経済的かつ現実的な候補ルートに絞り込む。
    この経済比較を実施するとき、送電線の運用でルート近傍の電話線などの通信線に、常時の静電誘導による雑音障害を発生させないこと、および送電線の一線地絡事故などの事故時に、電磁誘導による異常高電圧を通信線側に与えないため、通信線調査を的確に行う。
    その結果で、「対策費用」を的確に算出し工事費に反映させる。
    狭い国土の我が国では、通信線が網目のように張りめぐらされており、過去の事例では、送電線のルートとしては最経済的なルートであるにもかかわらず、通信線対策費用が高額になるため、迂回ルートを選定せざるを得なかった事例が経験されている。特に高電圧大容量の送電線計画ではこの調査・検討が重要である。
    送電線が経済的に建設出来るか否かの要素はいろいろあるが、最も基本的な条件は、ルートに高低差が少なく、直線状に真っ直ぐ引けること、支持物間隔が均等に最経済的径間(鉄塔の場合にはおよそ300~500m間隔)で、地質の良い場所に配置出来ることなどである。
  8. 次に、絞り込んだ候補ルートについて、航空写真から2千分の1の平面図を作成し、それを基に現地測量(平面測量、縦断測量、支持物立地地点測量)を行い、そのデータを基に詳細設計に入る。
設計(Various designs)

送電線の設計は、基本的には経過ルートの厳しい気象条件に曝されても、安定的に送電出来る電気的特性と、物理的強度を有することが求められる。
さらに、接近する他の工作物などに対し、電気的影響を実用上与えないように配慮することも必要である。
また、最経済的設計をすることは、言うまでもない。

  1. 電気設計
  2. 電線・地線設計
  3. がいし設計
  4. 支持物設計(鉄塔など上部構造物、基礎設計)
  5. その他設計(通信線対策、航空障害標識、その他)

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