がくうそうでんせん

架空送電線の話

The Overhead Power Transmission Line
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500kV安曇幹線(初の500KV1回線水平配列・2ルート送電線) Azumi main line

500KV安曇幹線は、東京電力が長野県の梓川に建設した安曇および水殿発電所、ならびに高瀬川に建設した新高瀬川発電所の計3箇所の大規模揚水式水力発電所と、首都圏の500KV外輪系統を連係する送電線である。
本送電線は、昼間には各発電所で発電した電力(最大210万KW)を首都圏に送電し、夜間には原子力で発電した余剰電力を各発電所に送電し、下池から上池に揚水して昼間の発電用水を確保する仕事を担っている。

本送電線は、高標高(最高約1,600m、平均約860m)の過酷な自然環境の山岳地を経過するため、耐氷雪設計の観点から全線にわたり支持物として我が国ではめずらしい1回線水平配列方式の「えぼし型鉄塔」を適用し、それを2ルート建設して2回線送電線としている。
(右写真は、長野県和田峠付近の写真である。写真の左が第1(北側)ルート、右が第2(南側)ルート)

我が国では、起点から終点に至る全線1回線水平配列方式・2ルートの送電線は殆ど無く、特に500KVの大規模設備としては初めてであると共に、我が国では唯一の送電線である。
国土の広い欧米の500KV級以上の超高圧送電線は、ルート選定条件が厳しくないため、その殆どが用地取得面積が広い「えぼし型1回線水平配列」の送電線である。
それに対して、我が国では、国土面積が狭く土地の有効利用の観点から送電線の形式は「2回線縦配列」を標準形として殆どの送電線設備は建設されており、送電線用地を幅広く必要とする本送電線形式は誠にめずらしい。

平成21年(2009年)現在の起点は長野県朝日村にある新信濃変電所、終点は埼玉県小鹿野町にある新秩父開閉所であり、こう長は約113kmである。
この建設は、2ルート同時ではなく、まず北側のルートを昭和44年(1969年)に建設して275KV運用し、その後発電所の出力増加に合わせて南側に2ルート目を昭和56年(1981年)に建設して500KV運転し、最終的に昭和57年(1982年)に北側ルートを500KVに昇圧して2ルートとも500KV運転したものである。
北側のルートを昭和42年(1967年)に建設工事開始して以来、最終形態に至るまで15年の長きにわたった大工事であった。

以下にルート別に建設概要を紹介する。

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